歌詞の紹介

《住吉》
《住吉》本調子
〽住吉の 岸の姫松 我が見ても合 久しくなりぬ合 瀧の水合 絶えず逢ふ瀬を 松の葉の合 色かわらじと 心の丈を合 あかして結ぶ 妹背仲 さてもよい よい ヨイヤサ
[第6編14丁ウ]
住吉は、代表的な松の名所でした。住吉の海岸に生える松や滝の水という自然の要素を通じて、永遠に変わらない愛と約束を表現しています。愛する二人が、松の葉のように変わらずに、心を打ち明けて固く結ばれている様子が描かれています。
古今和歌集九〇五番(よみ人しらず)に次の歌があります。我見ても 久しく成りぬ 住の江の 岸の姫松 いくよ経ぬらむ。年老いた自分から見ても、住の江の岸の姫松はずいぶん長い間立っている、いったいどのぐらいの歳月を経てきたものかと、自分より年長の者が少なくなってきている状況での感慨を松に寄せて詠っている歌です。『伊勢物語』では、住吉の浜が称賛され、在原業平が随伴した住吉行幸の場面で、「我見ても 久しくなりぬ住吉の 岸の姫松…」この歌を受けて住吉大神が御姿を現します。
住吉(現在の大阪市住吉区):住吉大社。「真に住むに吉のところ」(真住吉国)とたたえられたことから、「住吉」の地名が生まれたと言われ、創建の由来から航海安全の神として広く尊崇される。《松の花》照る月影も住吉の 岸の打つ音や高砂の…
妹背仲:恋人や夫婦の仲を指す。